天使の分け前は、ウイスキーを樽で熟成する間に液体の一部が蒸散し、樽の中の量が少しずつ減る現象の呼び名です。英語ではAngels’ Shareと呼ばれます。
分かりやすい名前ですが、毎年必ず同じ割合で減るわけではありません。温度、湿度、樽、倉庫、地域、期間を分けて考えます。
樽材を通して蒸散する
樽は密閉されたガラス容器ではありません。木材を通して外気とゆるやかに関わり、水分やアルコールの一部が失われます。樽の中の空間が増えることも、熟成管理の一部です。
| 要素 | 関係すること | 一律に言えない理由 |
|---|---|---|
| 温度 | 膨張・収縮、蒸散 | 季節と倉庫位置が違う |
| 湿度 | 水とアルコールの動き | 地域・倉庫で差がある |
| 樽 | 材、サイズ、状態 | 一樽ごとに条件が違う |
| 期間 | 蒸散が続く時間 | 毎年同じ率とは限らない |
量と度数は別に変わる
減るのはアルコールだけではありません。水とアルコールの両方が移動し、環境によって樽内のアルコール度数は上がる場合も下がる場合もあります。「量が減る」と「度数が下がる」を同じ意味にしないでください。
| 記録 | 見る数値 | 意味 |
|---|---|---|
| 残量 | L、樽数 | 瓶詰められる量に関係 |
| 度数 | ABV | 水とアルコールの比率 |
| 年数 | 蒸溜日と瓶詰日 | 樽で過ごした期間 |
| 環境 | 地域、倉庫、位置 | 変化を説明する条件 |
熟成年数の表示はウイスキーの熟成年数、度数はアルコール度数で確認できます。
長期熟成のコストにも関係する
長い期間、倉庫と樽を管理しても、最初に入れた量のすべてを瓶詰めできるわけではありません。時間、保管、蒸散による在庫減少は、長期熟成品の価格を構成する要因の一つです。
ただし、高価格を天使の分け前だけで説明することはできません。原料、製造、樽、包装、流通、希少性、需給も重なります。全体はウイスキーの価格差で整理しています。
樽熟成と瓶保管を分ける
天使の分け前は樽熟成の説明です。瓶詰め後のウイスキーは、適切に密封された状態で樽と同じように熟成し続けるわけではありません。瓶は立て、光と大きな温度変化を避けます。
開封後の管理は賞味期限と保存方法、樽そのものはウイスキー樽の種類を参考にしてください。
まとめ
- 天使の分け前は樽熟成中の蒸散
- 減り方は温度、湿度、樽、倉庫、期間で異なる
- 残量とアルコール度数は別に記録する
- 長期熟成の時間と在庫減少は価格要因の一つ
- 瓶詰め後の保管とは分けて考える