ノージングは、ウイスキーを口に含む前にグラスから立つ香りを確認する工程です。正解の香りを当てる競技ではなく、自分が感じた変化を同じ条件で比べるために行います。
アルコールの刺激が強いと香りを追いにくいため、最初から鼻をグラスへ入れません。少量、距離、短い呼吸、時間、少量加水の順に条件を一つずつ変えます。
先に量とグラスをそろえる
- ウイスキー:15〜20ml
- 口が少しすぼまった無色透明の小ぶりなグラス
- 常温の水とスポイトまたは小さなスプーン
- 香りを短く残すメモ
グラス形状の違いはウイスキーグラスの種類、飲む量と安全上の注意はストレートの飲み方で整理しています。
4段階で香りを取る
| 段階 | 動作 | 記録すること |
|---|---|---|
| 1 遠く | 胸元からゆっくり近づける | 最初に分かる強い方向 |
| 2 グラス上 | 縁の少し上で短く香る | 果実、穀物、木、煙など |
| 3 数分後 | 置いてから同じ距離で確認 | 増えた香り、弱まった刺激 |
| 4 加水後 | 2〜3滴の水を加えて再確認 | 新しく開いた香り、薄まった要素 |
Scotch Whisky Associationのテイスティング資料も、見た目、香り、味、余韻の順で確認し、水を用意する流れを示しています。サントリーは、同量の常温水を加える方法をブレンダーの例として紹介していますが、初心者は数滴から始めると変化点を追いやすくなります。
鼻を近づけすぎない
一度に深く吸い込むと、アルコールの刺激が先に立つことがあります。口を少し開け、グラスの縁より上から短く静かに確認します。刺激が強い位置では止め、距離を戻してください。
左右の鼻を交互に使うと、鼻の通り方による違いを確認できます。どちらかが優れているわけではなく、その日の体調で分かりやすい側を探すための手順です。
香りは大分類から記録する
| 大分類 | 連想の入口 |
|---|---|
| 果実・花 | 柑橘、りんご、ドライフルーツ、花 |
| 穀物・甘い香り | 麦、パン、蜂蜜、バニラ |
| 木・スパイス | 樽、シナモン、胡椒、クローブ |
| 煙・土・海 | 焚き火、土、海藻、潮風の連想 |
言葉が出ないときはフレーバーホイールを使い、大分類を一つ選びます。公式テイスティングノートは語彙の参考になりますが、自分が感じなかった言葉を写さないことが重要です。
同じ条件をメモする
- 銘柄、度数、注いだ量を書く
- グラスと室温を記録する
- 最初に感じた大分類を一語で書く
- 3分後に増減した香りを書く
- 加えた水の滴数と変化を書く
詳細な記録欄はテイスティングノートの書き方を使えます。香りだけを練習する日は、一度に多くの銘柄を並べず、水を挟みながら少量で行います。
手順どおりでも捉えにくい場合は、香りが分からないときの5項目で室温・距離・量・水・順番を切り分けます。
まとめ
- ノージングは香りを当てる競技ではない
- 15〜20mlを小ぶりなグラスへ注ぐ
- 遠い位置から短く静かに香る
- 最初、数分後、少量加水後を分ける
- 大分類から自分の言葉で記録する